昨年あるご年配の女性から『神戸市中央区の店舗兼自宅の売却』の相談がございました。当社以外の不動産屋にも相談して売却査定額を出して貰っているとの事でした。その査定額は聞かずに、物件のリサーチの為1日時間を頂き、翌日に当社の査定額を提示させて頂く事になりました。
確かに今回は商業地の中に建っている住宅という点で査定の見極めが難しく、過去の売買事例も無かった為プロ泣かせの査定物件でありました。そこで当社は『査定の鍵は現場を知る事』と朝・昼・晩と現地を見に行きました、見ていて分かった事は想像以上に商業地としてのポテンシャルが高いという事でした。商売でこの場所を欲しがる人は結構いると手ごたえを感じ、その事を踏まえて、当社の査定額を売主様に提示させて頂きました。
当社の査定額ご覧になった売主様は、『こんなに金額が違うものなの!?』と驚かれました。他社の査定額を聞かせて頂き当方もびっくりいたしました。なんと、他社は当方の査定した金額の半額の売却額を提示していました。
不動産の専門用語で『最有効使用の原則』というのがあります。平たく言うと、その不動産物件の魅力が最大限に発揮できるポテンシャルを不動産屋が見い出し、1番高く売れる売り方でアピールして売って行くというものです。当社はそこを店舗又は店舗用地として売るのが一番高く売れると判断したのに対し、他社は住居用物件としての評価だった為、査定額が倍額違うという結果になりました。
でも査定は所詮査定額で、その価格で売れることを実際に証明しないと意味がありません。お客様は『そんな高額で売却できるのかしら!?』と半ば疑いながらも、当社に売却依頼をされました。実際、売りに出し初日には問い合わせの電話が鳴りやまず、その日のうちにFAXで買付証明書(その不動産を正式に買いたいとオファー)が3本も入りました。お陰様で初日に商談がまとまり、しかも、どうしても欲しいというお客様が売出価格に100万円の上乗せのオマケまで付いてきました。売主様は『初日にこんな高額で売却出来て信じられない』と大喜びの御様子でした。
今回の売却成功の勝因はマーケティング力の成果です。当社はその不動産物件が一番高く売れるポテンシャルを見い出して、この用途(店舗用地・店舗物件)で探しているお客様にアピールしたにすぎません。でも、これは普段からの不動産のアンテナと現場を知り尽くす事をしないと咄嗟に出来ないのです。当たり前のことを当たり前に手を抜かずにやり続けて行く事が実は一番難しいのかもしれません。
その後、売主様はその物件を売却されて地方の老人ホームに入られました。売却がスムーズに行き、ご高齢のお客様のお手伝いが出来て私もすごくハッピーです。心から不動産を通してお役に立てて嬉しいと感じる瞬間です。長年お住まいになった神戸を離れるお客様は少し寂しそうでしたが、老人ホームに行けばまた新しいお友達も出来るから楽しみとおっしゃっていました。時々、お元気にされているのかとお客様の顔を思い出します。